第1章 意味 | 戸田山和久『哲学入門』
from 戸田山和久の哲学入門
哲学の有用性
方法論の有用性
「問いの始め方」
まずは問いを小さく分けて、具体的にする。それを徹底的に考える。そこで得た洞察をできるかぎり一般化し抽象化する。
具体例に近いので、例示は理解の試金石にもつながるwint.icon
チューリング・テスト
会話の困難さ
知能のほぼすべてを総動員する必要がある
厳しすぎるテストと言うべき
中国語の部屋
チューリング・テストへの批判
カテゴリー錯誤によって無効
会話は完璧だとしても、行動が伴わない
e.g. 「食べたい」→食べようとしない(身体がないので)
純粋会話機械には意味の理解はありえない。
ロボットには心がない
自分ごとの課題がないため
人間と違って問題解決の主体ではない
代行者に過ぎない
先行者?(冗談)wint.icon
同義
ヒトによって作られたから心を持たない
「ロボットは人間の道具として作られたかぎりにおいては心をもたない」
生存する意味がない
欲求→信念→行動→適応→生存
欲求も信念もないなら、心があるとは言えそうにない。
心の有無は機能の目的の存在様式の問題
ロボットは心をもち、十全な意味の理解をもつ前に〔、〕まず生きなければならない。
cf. ロドニー・アレン・ブルックス
意味の考察レベル = 生存するシステムの考察レベル
目的と密接に関連
ref. ロドニー・アレン・ブルックス
生き物の認知に深く関わる
cf. 認知科学
認知科学
表象の実在
言語的な表象には統語論的構造がある
部分から構成される
同じ意味のパーツが複数回出てこれる
全体の意味が部分と構造から決まる
心が自然現象であること
→「表象がなにかを意味する」も然り
解釈者なしの意味とは
ダメ
解釈主義
無限後退するのでダメ
「意味する」は規範的
正解と間違いを区別できること
自然化の難しさの正体
ところで、目的論は唯物論とは相性が悪い
cf. 進化論
意味を自然化する方針
因果意味論
難点
表象間違いが不可能
= 選言問題
誤表象
ターゲット固定問題
目的論的意味論
teleosemantics
teleology + semantics
by ミリカン
3段階
本来の機能 = proper function
これで分析
cf. 異常、機能不全
選言問題の解決
これを自然化
これの起源論的定義
進化の歴史を参照する
意味の自然化への適用
consumer >> producer
ターゲット固定問題の解決
批判
表象全般はムリでは
特に人間
今後の課題
Pietroski の思考実験
機能の決定の困難
フォーダーの批判
自然選択の働きは外延的
意味は内包的
粒度が大きく違うのではないか
自然選択 $ \gg 表象
defense
その生物の表象では区別できてないし問題ないのでは?
定常状態じゃないアノマリーを持ち込んでも正しく評価できないのでは?
正常・異常
批判: スワンプマンの思考実験
進化の歴史がないのに表象できる
反論
単に物理的に不可能では?(無知故に理解できない)
狭い内容・広い内容
ベスト: 棚上げ、正面からこたえない、無視する
まとめ
本来の機能の自然化
⇒意味の自然化
cf. ミリカンの進化に訴える議論
本来の機能の一種